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「安全基地」の誤解!知らずに不登校や発達をこじらせていませんか
「家を子どもの安全基地にしましょう」という言葉は、子育てでよく聞かれます。
確かに、子どもの成長において「安全基地」はとても大事です。
ただ、「じゃあ、どうしたら安全基地になるの?」というところまで詳しく説明されていない事が多いので、誤解してしまうことも多いものです。
特に不登校や発達課題がある場合には、「子どものために安全基地にならなくちゃ!」という思いから頑張っているのに、残念ながらそれが状況をこじらせてしまっている事例も少なくはないのです 😐
相談したら「家を安全基地にすることが第一歩だ」と言われました。
「安全基地」ってなんとなくイメージはできるんですが、日常生活では、これはどうしたらいいかと迷うこともたくさんあります。
そうですね。
「安全基地にする」って、ざっくりした言葉なので、そのままだと一つ一つの子どもへの対応で迷うこともありますよね。
ではご一緒に、子育てでの安全基地の大切さと、誤解しやすいポイントと対応について見てみましょう!
目次
子育てでの「安全基地」とは?
「安全基地」は、1982年にアメリカの心理学者M.エインズワースが提唱した考え方です。
子どもが成長していく過程で、親などの養育者との信頼関係で培われるもので、「心の安全地帯」とも呼ばれます。
安全基地は自分が精神的に安定して、安心して頼れる場所です。
そこでは自分の呼びかけに応えてもらえるし、困ったら助けてもらえる、自分は受け入れられている、という感覚が持てる場所のことです。
赤ちゃんや幼児は、自分で自分の欲求を満たしたり自分の世話ができないので、大人に自分の要求に応えてもらったり、助けてもらうことで安心して日々を過ごして成長できます。
そして自分は誰かに肯定的な関心を持ってもらえる存在だと感じられれば自己肯定感が芽生えますし、他人に対しても「怖くない味方がいる」という感覚を持てます。
アドラー心理学では、幸福の三原則として
①自分が好き
②信じられる他人も居ると思える
③自分は役に立っている
という感覚があることを挙げています。
赤ちゃん・幼児期の「安全基地」は、①②の土台となりますね 🙂
そうなんです。
そして「自分には安全基地がある」という感覚が持てると、動けるようになった子どもは、徐々に行動範囲を広げられます。
もし、ちょっと安全基地から離れても、不安や危ないことがありそうだと思ったら、すぐに基地に戻れば、また安全でいられると思えるからこそ、自分の好奇心に従って、少し離れた場所にも一人でも行けるようにもなるのです。
幼児が公園で遊んでいる間に、突然お母さん・お父さんのところに戻ってきたり、ちゃんとそこに居るか、自分を見てくれているかを確かめることってありますね。
大丈夫だとわかると、ニコッとしてまた離れて遊びに行ったりします。
それが「安全基地の確認」で、安全基地があるからこそ、ちょっとしたチャレンジができている状態です。
もし赤ちゃんや幼児期に
★いくら泣いても応えてもらえない
★その時々で対応のされ方がかなり違う
などが多い日常だと
子どもは情緒的に不安定になったり、対人関係に不器用さが生じやすいと言われています。
自分が安心していられる場所がないので、いつも不安な感じがしていたり
他の人と、どのくらいの距離感で過ごしたらいいかがわからなくなってしまうのです。
他人と打ち解けることが苦手だったり、逆にどんな人にも近づき過ぎる・・ということも起こります。
そうなんです
ただ、安全基地については
「赤ちゃんや幼児期に、十分な安全基地がなかったから、その後も安定した情緒や良好な人間関係が築けない」と
固定して捉えてしまわないことも、とても大事です!
幼児期の安全基地は大事ですが、「幼児期に安全基地が十分でなかったから、もう手遅れ」ではありません。
いつからでも、どんな状態からでも、未来は自分で選べることは変わらないのです
(^^)
赤ちゃん・幼児期の安全基地について個別のお問い合わせは、講座や個人セッションをご活用ください
思春期には安全基地のバージョンアップが必要!
そして、安全基地についての誤解は、「思春期には、赤ちゃんや幼児期の安全基地からのバージョンアップが必要」という大事なポイントがぼやけていると起こります。
子育てのスタートでは、赤ちゃん・幼児期はまだ自分で自分の欲求を言葉で分かって説明したり、自分で満たすことができません。
自分が泣くなどして、自分には欲求(お腹が空いた、おしりが気持ち悪い、眠たいなど)があることを表現して、周りの大人がその意図を察して、代わりにその欲求を満たすための行動をしてくれます。
そのような安心・保護されている環境があれば、子どもは自己肯定感と他人への信頼を持ちながら、だんだん自分の身体を思うように動かせるようになったり、言葉を発することができるように成長していきます。
子どもは成長とともに「自分でやりたい」という本能的な欲求が強くなります。
「あれは面白そう」とか「やってみたい」「触ってみたい」というチャレンジしたがる本能も持っています。
どちらもやがて自立できるようになるための、とても大事な本能です。
安全基地という環境があれば、子どもは安心して自分の好奇心によって自分の身体で行動するように成長していくことができるのです。
ここで、とても大事なのは「子どもが自分の好奇心に向かって、自分で行動できるようになる」ことです。
子育てのゴールは「子どもの幸せな自立」です。
誰かに依存していないと生きていけない状態を続けていては、個人としての自立にはつながりません。
いつまでも親に察してもらって、代わりに欲求を満たしてもらっていたら、自分で言葉で表現したり、自分のために自分で行動することができなくなってしまいます 😐
子育てで重要なのは
どんな動物でも
◎代わりにやってあげるのをやめて「子どもが自分で行動できるようにサポートする」方に徐々に切り替えることです。
そしてさらに人間では
◎「察する」のをやめて「子どもに言葉で表現させる」に切り替えることも必要になります。
他の動物の赤ちゃんは、大人のように行動できるようになるまで、あまり長い時間を必要としません。
自立のために身につけるべきことがシンプルなので、食べて安全に暮らせるようになったら、親の方から子ども離れをします。
ところが人間は脳と社会環境が複雑な分だけ、大人になるまでに25~30年もかかります。
社会に出るのはもっと早いのですが、脳の一番複雑な、人間としての働きをする前頭葉は25~30歳までかかってようやく成長が完了します 😯
そうなんです。
そのことが人間の子育てで、難しさや勘違いを生みやすい要因になっています。
動物の子育てでも、赤ちゃんは自分でできることが初めはほぼないので、安全基地の中でひたすら親に欲求を満たしてもらっています。
でも短期間で食事と命の安全を守る方法を覚えたら、すぐに親は子どもの自立させて、自分の縄張りから追い出します。
人間の場合には、単純な「食」「命の安全」を自分でできるようになるだけでも、他の動物よりもずっと複雑で時間もかかります。
その上に文字を覚えたり、広範囲の知識や情報の処理の仕方も覚える必要もありますし、言葉の使い方も母国だけでは足りません。
「人として自立するため」には生物学的な時間も必要ですが、その間に身につけなくてはならないこともたくさんあるのです 😯
たくさんのことを、長い時間かけて、その子のペースに合わせて徐々にできるように育てていく・・というのが人間の子育てです。
もちろん、大人になってからもいくらでも成長できますので、子どもが自立する時には、社会に出ても「自分が好きで、人は信じられる事があると知っていて、何かで人の役に立てる」状態ならば十分です
うちは中学生になって、背も伸びたし、口でも大人びたことを言うから、もう大人かな~と思ってましたが、まだ成長時期の半分くらいなんですね
はい、中学生は身体が大人びるし、子どもも「一人前に扱ってほしい」というオーラも出すので、ついそう思ってしまいますが、まだ実態は成長の余地がたっぷりある時期なんです 🙂
子育てでは、まだまだ自立のために必要な生きる力を育てる時期ですね。
親が必要な時には「教える」「導く」がまだまだ必要な時期です。
そして、思春期の始まりには、人間の子育てが難しくなる要因の2つ目が表に出てきます。
それが「子どもには親離れの本能があるが、親の方には子離れの本能がない」という人間だけの特徴です。
子どもの親離れの本能は、思春期になると強く表にでてきます。
特に中学になった時期には「自分はもう大人だ」と思うので、ちょっと過激に親との距離を取ろうとしがちです。
それが反抗的態度になれば「反抗期」と呼ばれます。
思春期には、親が子どもの「自立したい」「一人前と扱われたい」という気もちを尊重しながらも、必要なことを教えていくのが思春期の子育てのポイントになります。
子どもも反抗的になったり、屁理屈を言うようになってるんで
うん、うん、そうですよね。
素直に言うことを聞かなくなって、自分なりの納得感や自分の理想を掲げてきますから、第一次反抗期よりも扱いづらいことも多いです。
そうなると、親も忙しいので「勝手にしなさい」と放置したくなるか、黙ってさっさと子どもの課題を親が代わりにやってしまったほうが早い・・・なんてことも起きがちです。
逆に、子どもの成長に関わらず、ずっと親があれこれ指示する方が失敗もないし楽だ、ということもあるかもしれません。
ただ、たまにならばしょうがないのですが、
そのように「子どもの課題を親がやってしまう」または「子どもから目を離す=自律力を身に付けさせない」と、
結局いつまでも子どもが自立できないので
ずっと親が子どもの面倒を見なくてはならなくなってしまいます 😯
自分で自分の欲求を満たすための行動をしたり、人の力を借りるためには、自分で頼んだり、状況を説明する力も必要です。
そして、この2つができるようになるには、どちらも「練習させること」が必要なのです。
よくある安全基地についての2つの誤解
ここまでで、思春期の安全基地では
◎子どもの自立したいという欲求を満たしながら
◎自立に向けての練習をさせていく
が大事なポイントになるというお話をしてきました。
では次は、このことを踏まえて
安全基地についてのよくある2つの誤解について見ていきましょう
子どもに認めていたり大切に思っていることや、愛情を伝えようとして
「子どもの言うことには何でもYESという」
「子どもが欲しい、やりたいと言ったらなんでも与える」
という誤解になっているパターンは、実は結構多いです。
そんな環境だと
子どもは自分の欲求を状況に合わせて調節する力をつける練習や
目先の欲求だけでなく、少し先の自分の将来に役立つことをするという自律力をつける練習ができなくなってしまいます。
この2つは赤ちゃんにはないので
日々の中で練習して成長の中で身につけていく力です。
それを子どもに練習させるには、子どもの言う事や欲求に、時にはNOという力も親に必要になります。
しかし、もともと人に「NO]が言えない人や、
子どもが不登校や発達課題がある場合に「子どもの好きなようにさせて、家を安全地帯にさせましょう!」と言われた要な場合では、
子どもに「NO」が言えなくなることがあります。
そうなると子どもに「YES」しか言えないので、「自立に向けての練習」を子どもにさせることが難しくなってしまうのです。
安全基地にするというのは、子どもを完全に好きなように過ごさせて安心させることかと思ってました。
でもそうなると、私が「本当はこうして欲しい」ということを全部飲み込まなくちゃならなくなるので、かなりしんどいです
そうですよね 😐
実は私もかつて、子育てではそのような経験があります。
子どもが学校に行きづらくなった時に、何でもYESと言って、子どもに自由に思い切りやらせればそのうち元気になる、という解釈をしてたんです。
でも実際にやってみたら、私も混乱しまして苦しかったですし、あとから子どもに聞いてみたら
「本音で向き合ってもらってる感じがしなかった。
でも自分の辛さから目をそらしたかったから、ちょっと無理だと思うことでも、あえてそれを要求することもあった。
それでも、そうやって何かを手に入れても、満足感はなかったし、そうやってる自分も嫌だった」
と教えてくれました (T_T)
私は「良かれ」と頑張っていたつもりだったんですが・・
思春期にもなれば自分でも「これはちょっと行き過ぎ」とわかるようにはなっています。
ただ、不登校や発達の抜けなどで、ストレスが大きくなっている状態だと、それでも親を思い通りに動かすことで、つかの間のコントロール感を手に入れようとすることも起こります。
その結果、親を思い通りに動かすことで、つかの間のストレス発散にはなりますが、子どもの自己肯定感はどんどん下がってしまうものです。
「こんなことしている自分は同じ年の子たちよりも劣っている」という感覚を持つようになります。
更に困ったことに、こんな状態が長く続くと、だんだん子どもが家の外でうまくやれなくなってしまうのです。
「本当はこんなの変だよね」と思いながらも、家の中では何でも言うことが通ったり、好きなようにやれることが続いてしまうと、
今度は、自由にやれない外に出ることが億劫になったり怖くなってきます。
ちょっと登校したり友達とやり取りをしていても、相手が家の中と同じように自分最優先にはしてくれはない状況に、違和感やストレスを感じるようになるのです。
人はどんな環境にもやがて慣れてしまいますので、家の中が外とあまりにも違う”快適な”環境に慣れてしまうと、「あえて外にでていこうとしなくなる」のです。
残念ながら、不登校ではこのパターンで長期化しているケースが珍しくありません。
家を安全基地にして、リラックスできる環境にすることは大事ですが、それは何でもYES、子どものやりたい放題にさせるのとは別の状態です。
私も「これは変だ」と気づいてからは、共同生活をする上で必要な時には「NO]を伝えるようにしました。
方向転換した始めは子どももちょっと抵抗しましたが、元の状態に家中が戻りました。
私も無理せずに子どもに接することができるようになりました 😉
親御さんがもともと「NO」を言うのが苦手な場合には、「NO」を全面否定だと捉えているのかもしれません。
こちらもご参照ください
断れない:ストレスを感じる時の5つのパターンと抜け出し方
愛情は「家を無法地帯にする」必要もなく、勇気づけやハグ、表情、仕草、しっかり話に耳を傾ける時間を持つなどでちゃんと伝えることができます。
参考:子どもが伸びる褒め方は?思春期の子育てで知っておきたい勇気づけ
「安全基地だから、子どもに失敗やつらい経験をさせないように!」との思いから、子どもに過干渉・過保護になるというパターンにはご注意です。
子どもにちょっとしたストレスやリスクが有ることは全部親が肩代わりしようとしてしまったり、
子どもが「嫌だ」ということは全て「子どもが嫌だと言うので」という理由で、それ以上話題に出さなくなる・・というパターンです。
そしてこのパターンには
「子どもの行動や決定を親が過度にコントロールする」というのも含まれます。
どれも「子どもを嫌なことから遠ざければ、家が安全基地になる」という誤解から来ています。
不登校や発達の抜けで子どものエネルギーが少なくなっている時には、通常よりも子どもができることが限られます。
エネルギーの回復へのサポートをしながら、その時の子どもができることを見極めていく必要はありますね。
元気な時と全く同じ行動を期待しても、子どもの回復が難しくなります。
ただ、それでも今の状況で、「ちょっとだけ頑張ればできること」は何なのか、を常に見極めていくことは大事です。
そして子どものチャレンジや意欲を0にするのではなく、「今できることはやってみる」という姿勢と意欲を保てる環境にすることがとても重要です。
子どもがやろうと思えばできるはずのことも親が全部やってしまったり、
子どもが自分の課題について「どうしようか」と考えて決める時間を与えずに、親がどんどん決めてしまうことが続くと、
だんだん子どもは「自分のできることはやる」という姿勢や意欲を失ってしまいます。
どうせ親がやってくれると思うと、自分で考えようともしなくなります 🙄
例えば足を骨折して入院したとしても、始めは安静にしていても、やがて怪我の治りに合わせて足を動かす・歩く練習を始めますね。
その進め具合を回復の度合いに合わせていけば、リハビリによって丈夫な骨や筋肉がついて、しっかり走れる体になります 🙂
同じように、学校を休まなくてはならない状態になった場合には、心身のエネルギーを回復させながら、徐々にリハビリをして外の世界との差をなくしていくという段階が必要です。
ベッドで寝ているだけの状態が必要以上に長く続けば、筋肉もうんと衰えます。
ちょっと歩こうとしてもうまく行かないので、歩く練習もしなくなってしまうのです。
私は家を安全基地にすることばかり気になっていて、最終的には元気になって楽しく活動して欲しい、ということを忘れていたようです!
なんとなく、安全基地=ストレス0というイメージで、そうすれば子どもは元気になるはず、と思ってました。
はい、ちょっとした疲れくらいの状態であれば、リラックスして家で過ごせば心身のエネルギーは溜まるので、それで元気になることも実際にはあります。
ただその場合は2種間も休めば元気になるのでわかりますし、その子の状態に合わせて、外との差を作りすぎない方が戻りやすくなります。
2週間以上家で好きなように過ごしても元気が回復しないようであれば、より積極的なサポートが必要な状態なので、専門家に相談するのがおすすめです 🙂
不登校での安全基地についての気をつけたいポイント
不登校は心身のエネルギーが不足しているために登校できない状態なので、子どもが家でできることも通常よりは少ないです。
まずは身体のエネルギー、心のエネルギーの状態をチェックして、今必要なサポートを開始します。
不登校の段階に合わせたサポートをしていきましょう
参考:不登校への親の対応:回復段階別・年代別のポイント
その上で、今のその子の状態をしっかり判断して、できる範囲で外の世界との差を少なくします。
エネルギー切れが強いと、不登校の始めは眠ってばかりかもしれませんが、それでも昼夜逆転はしない程度に眠る時間を調整するなどします。
一度完全に好きなようにさせて昼夜逆転が身体に染み込んでしまうと、生体リズムも崩れますので、回復がより進みにくくなります。
そして生体リズムを戻すのには、かなり時間もかかるのです 😐
不登校で最も気をつけたい3つのポイントです
①子どもの課題は子どもに徐々に戻していく
親が子どもの代わりに先回りしたり、口出したり、肩代わりはしないのがオススメです。
体調・気力に合わせて、子どもは登校や勉強は一時的にお休みできますが、その分早く健康な心身に戻るための工夫はすることが必要です。
そして子どもの復帰度合いに合わせて、徐々に子どもがやるべきことは子どもがやれるように応援していきます。
②優先順位を学ばせる
休んでちょっと元気になると、自分のやりたいことだけやろうとするタイプの子もいます。
なんでもYESだと、そのままやりたいことだけやって、疲れたらそれでおしまい、という日々を繰り返します。
やりたいことをやるのも大事ですが、何より「回復する」ことが最優先です。
それを優先したスケジュールの残り時間で、楽しみはやるようにするのがおすすめです。
例えば授業のある時間帯にはゲームはしない、など。
そうでないと「学校を休めば楽しい事ができる」という状態になってしまうので、わざわざ自由じゃない学校には行きたくない・・と、なる傾向があります。
ゲームがないと日中が暇だと感じるのであれば、自分が何をしていれば楽しいかを自分で見つけるチャンスにもできます!
③ルール・約束は守らせる
人と共同生活をする上で必要なことや、回復を最優先する生活のために必要なことがうまくできない場合には、はっきりとしたルールを作るのもオススメです。
「安全基地」は「無法地帯」とは違うので、またルールのある社会に戻っていくためには、当たり前のルールは守る姿勢をなくさない方が子どもにとってものちのち楽です。
発達の抜けがる場合の安全基地についての気をつけたいポイント
発達の抜けがあると
☆心身のエネルギー不足になりやすい
(過敏性があるので、ストレスを感じやすいため)
☆勉強や言動に影響があるが、それが発達のぬけから来ていると理解されづらい
☆できることと不得意なことの差が大きい
本人も辛い上に、周りからの理解を得にくい
ということが起きがちです。
なので、親もつい「子どものストレスをなくそう」「守ってあげなくちゃ」となりがちな傾向があります。
しかし、発達の抜けは埋めていく方法があるのです!
それを前提に、「今の単純な延長線上に子供の未来を決めてしまわない」ことがとても大事です。
その子によって発達していくスピードなどは違いますが、適切なサポートで発達していくのは間違いないということをぜひ、前提にしてください 🙂
不足・苦手なところに、どうしても目が行きがちですが、子どもの特徴を把握して、今必要なサポートを見つけていきましょう。
「できないから守らなくちゃ」に偏りすぎずに、その子の良いところにも勇気づけをしていきましょう。
勇気づけで子どもに自信が生まれますので、それがさらにその子の発達を促します。
思春期に適切な安全基地を築く
思春期には、子どもは「家族」から、より広い外の世界に意識が向くようになります。
その時に、子どもの好奇心と「やってみよう」というチャレンジを後押しするのが「安全基地」の存在です。
外の世界で不安になったり失敗した時に、戻って休める場所があれば、やがて子どもは本能に従って、また外の世界でチャレンジをするようになります。
そして多くの同年代や別の価値観を持つ人達に出会うことで、新しい「安全基地」をたくさん作るようになります。
その安全基地では、家での「無条件に与えられる関係」ではなく、友達や恋人との「相互に安心を与え合う関係」による安全基地です。
一方的に安全を与えられる存在から、自分も誰かに安全を与えられる存在になり、そのような関係を作れるようになれば、それはまさしく「生きる力」となります。
そのような関係を結べる自立した個人になるために、思春期はまだまだ練習の途中です。
だからこそ、家が安全基地であれば、子どもは安心して自分のことに意識を向けることができるので、自立に向けて成長しやすくなりますし、時に道からそれそうな時には、親身になって「NO]と言ってもらえることが必要なのです。
思春期の子どものための安全基地5つのポイント
ではここで、思春期の子どもを育むための安全基地の5つのポイントをまとめます。
1)安心感を与える
子どもに肯定的な関心や愛情を持っていることが伝わる
勇気づけ、笑顔、子どもの話に耳を傾ける、目を合わせる、タッチなど
2)子どもが自立のための自分の課題に取り組めるようにサポートする
*一歩引いて見守る
子どもの代わりに解決しない。先に口を出さない
・今の欲求だけでなく、将来についても視野に入れられるように関わる
子どもが自分の課題に取り組めるように、言うべきことや教えるべきことは伝える
短くても、本気で関わる時間を定期的に持つ
3)子どもの呼びかけには応える
「応える」は「なんでも言うことをきく」のではなく、「何かの反応を必ず返す」ことです。
子どもに話しかけられた時に時間がとれなければ「今時間がとれないけど、夕方●時頃ならしっかりきくよ」などと、反応します。
人は「無視」「無関心」からもっとも大きなダメージを受けます。
「言う事を何でもきく」ことよりも、「呼びかけにはちゃんと反応する」ことの方が子どもにはずっと必要です。
また、親もイライラするなど、状態が良くないこともありますよね
そんな時には無理にその場で対応するよりも、タイムを取って仕切り直すのがオススメです。
4)否定的な感情や話も認める
子どもがマイナスな気持ちや後ろ向きなことを言うこともあります。
それに同調する必要はないですが、すぐに明るく考えさせよう!としてしまうと、「受け入れられている」と言う感じが持てなくなります。
もし、子どもがいつまでもマイナス状態から抜け出せずにずっと同じことを言うような場合には、専門家に相談することをおすすめします!
身体・心・頭からどのような状態かを見極めて、必要なサポートや対応がわかります 🙂
5)複数の居場所を持てるようにする
できれば、思春期には子どもが複数の居場所が持てるのが好ましいです。
一つしか居場所がない、同じメンバーだけだと、そこでうまく行かなくなった時に「家の外だとうまく行かない」と思い込にやすくなります。
学校で同じ年齢・同じメンバーでばかり過ごして、家に帰っても同じメンバーとSNSをしている環境だと、考え方や行動パターンや視点が偏ることもあります。
広く、様々な人と触れ合うチャンスが有れば、子どもの世界は広がります。
安全基地の誤解!おわりに
そのための大事なポイントも分かったので、これから悩んだり迷わないで済みそうです!
かつての私もそうだったのですが、自分で「良かれ」と思ってやっていたことが、実は逆効果になっていた!と分かるのは、親としてはかなりショックです。
知っていれば、そんな残念なこともしなくてすみます
必要なことを知っているかどうかで、ずいぶん道が分かれますね
これからは、今日分かったことを活かしてやってみます!
❤❤あとがき❤❤
不登校のサポートを15年間続けてきて、最近は「安全基地の誤解」が多いように感じています。
ずっと前は「親が子どもが不登校であることを責める」ことで、親子関係がこじれてしまった結果として、不登校が長期化しているケースが多くありました。
その後「不登校は無理に行かせようとしないて良い」という国の方針が発表になってからは、徐々に「安全基地の誤解」から、子どもが家の外にでないようになってしまったことで、不登校が長期化しているケースが増えています。
このパターンだと、親子喧嘩が表面的には多くはなくなりますが、親は「子どものために我慢」を相当しいられますし、子どもにも生きる力が育たなくなってしまいます。
友達や恋人と「相互に安心を与えられる関係」を築けるくらいに成長できないと、たとえ学校には通えたりオンラインで学ぶことができても、幸せに生きることは難しくなります。
当カレッジでは「既にずっと子どもの好き嫌いで家庭が動いていた」事例も多数サポートしてきました。
そのようなケースでは、子どもや親御さんの心身のエネルギーが増えてきても、これまでの対応パターンを変えていかないと、子どもが社会に向き合えないという状況もありました。
ずっと当たり前のように「子どもの思い通りになっていた環境」を変えようとする時には、子どもの抵抗がまず始めに必ず起きます。
でもそれに対応しながらも、適切な親子関係に戻そうとし続けていくと、必ずちゃんとどのご家庭も、良い関係性に戻ります。
どんな子にも、他の人と繋がりたいという欲求と、それができる力があります。
その自然な力がうまく発揮できるよういなれば、幸せな家族の時間は必ず増えていきます
(^^)/
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