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「無理しないで」とい言葉にはご用心!:言われた子どもに起きること
「無理をしないで」は、つい使ってしまいやすい言葉です。
もちろん相手を気遣う思いからなんですが、時にはそれが相手に予想外の影響を与えてしまうこともあるんです 😯
私が何気なく子どもに『無理しないで』と言うと、子どもが暗い顔になってしまうことに最近気づいたんです。
何が起きているんでしょう?
はい、よくそこに気づかれましたね 🙂
実は『無理しないで』は、言う人が込めた思いと受け取る側が感じることに食い違いが起きやすい言葉なんです。
その違いに気づかないで言う人が使っていると、相手が想定していなかった反応をしてしまったり、関係性が悪くなってしまうことも起こります。
もったいないですね。
それではご一緒に『無理しないで』という言葉で起きやすいすれ違いについて見てみましょう!
目次
『無理しないで』と言う時に言い手と聞き手に起きていること
『無理しないで』はつい言いがちな言葉ですが、どんな時に言いたくなるでしょうか
①頑張っている様子が飛ばし過ぎに見える場合
そんな時には『無理しないで』って言いたくなります。
はい、そんな時には「頑張っていることを応援する気持ち」もありながら、「飛ばしすぎないでね」という思いを込めて『無理しないで』と言葉をかけたくなりますね。
『無理しないで』には応援と心配の両方の意味が込められています。
ただ、言われた子どもに聞いてみるとこんな気持になったと言ってくれることが多いんです。
ⅰ外からは無理しているように見えるんだ。
じゃあ、どうすればいいの
ⅱせっかくやる気でやっているのに、これじゃダメなの
ⅲ気遣ってくれる気持ちは嬉しい
残念なことに、最後は割と少ないです 🙁
はい、『無理しないで』と言う言葉には「あなたは無理している」という前提があります。
実際に「無理しているように見えるから、ペースを落としてもいいんじゃない?」という思いにはその前提がありますね。
ただ、そんな思いを全部言葉にしないで『無理しないで』とだけ伝えてしまうと、子どもには「自分は無理していると思われている」だけしか伝わらなくなってしまうんです。
そして「~~しないで」というのは、言われた方にはある意味負担がかかる言葉です。
例えば「~~しないように」というのは、「~~以外のことをしなさい」という意味なので、「代わりにどうしたらいいのか」という具体的なイメージは含まれません。
言われた方は「じゃあどうすればいいの」と自分で考えることが必要になりますし、その考えて出した結論が、「~~しないように」と言った方のイメージとは異なることもあります。
そして子どもがその後自分なりに工夫して変えたとしても、また『無理しないで』と言われることがあったら・・・
どうしたらいいの⁉と混乱しちゃいますね 🙄
もともと頑張り屋さんで全力投球をしがちな子には、自分のやり方以外のイメージを持ちにくいものです。
何をしているところがどう無理に見えるのか・・・が、子どもにはわからないと、何をどう変えなさいと言われているのかが分かりにくいんです。
同じように、「手を抜く」とか「80%の力でやる」とか抽象的に言われてもそれを具体的にどうしたらいいのかがわからないんです。
そうなると「自分のやり方を変えたほうがいいと言われているのはわかる」けど「どうしたらいいのかわからない」という状態になりがちです。
真っ直ぐな子はゆるやかに調節するのも苦手なことも多いので、0か100のイメージしか持てずに混乱してしまうことも起きがちです。
結局、ただダメ出しをされているような気持ちになってしまうんです。
気遣って言っているつもりだったけど、言われる方はダメ出しされているみたいですね 😯
はい、もったいないすれ違いですね。
そして子どものタイプによっては「自分はちゃんとやれているのに無理していると思われている。自分の能力を見くびられている」と反発を感じてしまうこともあります。
抽象的な「無理している』「無理じゃない」という会話だけだと、お互いに平行線の主張しあいになってしまいます。
こちらのすれ違いももったいないですね
(><)
「応援したい」と「飛ばしすぎが気になる」の両方がある時にはちょっとだけ言葉を足して具体的に伝えると、うんとすれ違いがすくなります。
・気持ち的に張り詰めすぎているように見える時
→ 集中しているね。
時々リラックスもしてる?
・スケジュールをパツパツにしているように見える時
→ 頑張ってるね。
身体や頭を休める時間もとれてる?
「今は頑張ったあとに休息の時間をとることで、身体も頭も以前よりも回復して効率が良くなるということが、スポーツでも勉強でも取り入れられているんだって。超回復って言うらしいよ」
などと、情報として伝えるのもおすすめです。
コツは
承認+休むことに意識があるかどうかを尋ねる
です。
頑張っていることは応援したいと思ってるのだから、それを言葉にして承認するのが先ですね。
そして気になることも「やってないよね」と決めつけずに、本人なりにやっているかもと聞いてみるというのも大事なんですね!
はい、意外と子どもなりに工夫していることもあります。
それが大人からみたら30%くらいのことだとしても、それがあることをしっかり承認して、そして「さらにあるといいね」と子どもが思えるように話を進めていくと、お互いが気持ちよくコミュニケーションが進みます 🙂
また、「夜の就眠時間がもう少し早いといいと思うんだけど、どう思う?」や「これは他のメンバーに頼む・一緒にやることもできるの?」などと、具体的に気なることについて子どもの話を聞いてみるのものおすすめです。
そして子どもにも「今は頑張るしかない時」というのもありますよね。
そんな時に『無理しないで』と言われても、子どもは『そう言われても・・・』となってしまいます。
そのような場合には「応援している」という気持ちを伝えた後に、「できることがあったら言ってね!」とサポートする気持ちも伝えれば、「今より緩めなさい」というプレッシャーにもならなくなります。
ただ、大人から見て明らかにキャパオーバーな時には、先程のようにまず承認してから子どもの思いを具体的に聞いていきましょう!
1週間以上辛そうだったり、無理している感じがだんだん強くなる場合などはそのサインです。
こんな風に、ちょっとだけやり取りを足してみれば、同じことを正面から何度も繰り返して分からせようとしたり、相手から嫌がられることもなくなるので、トータルでうんとコミュニケーションが楽になります。
親子関係もぐんと良くなります。
そうですね (^^)
また
・趣味など本来は楽しみでやっていることなのに余裕がなさそうに見える時には、
→ 頑張ってるね
楽しめてる?
とサラッと言葉をかけてみたら、子どもがハッとしてそれから自分のペースを取り戻した・・という事例もいくつかあります
(^^)
②頑張っていることを応援している気持ちを伝えたい場合
特に子どもが無理しているようには見えなくても、頑張っている姿を見れば、親として応援の言葉をかけたくなることもありますね。
かつてはそんな時には『頑張って』という言葉がよく使われていました。
でも、『頑張って』という言葉だと「今は頑張ってないということ?」と受け取られてしまうこともありますし、「すでに頑張っている人にはかなりのプレッシャーになる」ということが徐々に知られてきました。
・・あら、『無理しないで』も同じ、柔らかい命令ですね
そうなんです!
本当は自分の気持ちを伝えたいはずなのに、柔らかいけど相手への命令になってしまうので、すれ違いが起きやすくなってしまうんです。
シンプルに、『応援してる!』とか『何か手伝えることがあったら、言ってね』などと、自分の気持や具体的にできることとして伝えるのがおすすめです
(^^)
また、『無理しないで』という言葉を応援のつもりで「そんなに無理していない子」にかけた場合には、「遠回しに、無理はしなくていいけどやることはやってね」と言われたように響いてしまうこともあります 🙄
せっかく応援しているつもりなのに、それは残念です
はい、どちらの場合でも、その前に「頑張ってるね」「集中してるね」などと、子どもがやっていることを承認する言葉を一言いれると「無理していると思われている」「もっとやれと言われている」というイメージは薄らぎます。
自分のことを見てくれている、気にかけてくれていると子どもが思えるのが一番の応援になります 🙂
なので、せっかく応援している気持ちを伝えたい!と思った時には、ちょっと笑顔や目を合わすなどをすると、すれ違いはうんと少なくなります。
スマホをいじりながら『へ~すごいね』なんて言ってる時もありますね。
気をつけなくちゃ
言葉をかける瞬間だけ目を合わせるだけでも、うんと伝わるものが違ってきます。
不思議なことに、相手がこちらを見ていなくても違うんです。
コミュニケーションでの言葉の意味はたった7%で、後は声のトーンや目や手、表情から伝わるという研究結果もあります
③気遣っていることを伝えたい場合
相手を気遣っていることを伝えたい時にも、私達は『無理しないで』という言葉を使うことがあります。
そうですね 🙂
『無理しないで』という言葉だと、先程から出てきているように
*無理していると思われている
*抽象的なダメ出しをされている
*自分の能力を見くびられている
*やることはやってねと促されている
と受け取られてしまうこともあります。
ただ、日本語ではなかなか気遣いをうまく伝える言葉が見つからないですね。
『応援してる』『頑張ってるね』などを使い分けていくのが良さそうです。
『無理しないで』をそのまま「気遣い」と受け取ってもらうには、声のトーンや笑顔、アイコンタクトなどとセットで伝えるのがおすすめです。
言われてみればすぐに分かることばかりなんですけど~
「無理をしない」「無理をさせない」ということ
次は「無理をしない」ということについてもちょっと見てみましょう!
基本的には子どもへの気遣いからのことばなんですが、この気遣いが「心配している」というメッセージになってしまうと、子どもに別の影響を与えてしまうこともありますので、気をつけたいところです。
基本的に子どもがやりたいことや前向きな気持の時には、『無理しないで』が笑顔とともにサラッと明るく伝えられれば、それは気遣いや応援の気持ちとして伝わって、子どもの勇気づけにもなります。
しかし、子どもがちょっと尻込みしている時や、やりたくないな~と思っている時に、『少しずつでもいいんだよ』と言うメッセージのつもりで大人が『無理しないで』と声をかけてしまうと、子どものチャレンジする意欲を失わせてしまうことがあるんです 😯
例えば不登校の子が心身のエネルギーを少し取り戻して、「学校に行ってみようかな」と思うようになるタイミングがあります。
その時に子どもが、かなり心身のエネルギーが満ちていればスッと進んでいくのですが、まだしっかりと「再登校期」に移行してない段階だと、『無理をしないで』と言われたことで、せっかくのそのチャレンジをやめてしまうこともあるんです
(><)
文科省の不登校は無理に登校させなくて良いという通達が平成28年に出てから、不登校になると子どものペースを尊重する方向になってきました。
もちろんそれはとても大事です。
ただ、それは「大人は何もしない方が良い」「全て子ども任せで見守っていれば良い」というのとは違います。
その子の身体・心・頭の状態を整えて、以前よりもエネルギーに満ちた状態になれば、本人が本当の意味での自分の選択ができるようになります。
そうなった時に、元の学校に戻るのか、それ以外の道を行くのかなどの様々な選択肢の中から、長い目で見ても自分の幸せにつながる選択ができるようになります。
子どもが年齢に応じて家族や他の人の話も聞いて必要な情報は取り入れられる状態になるように、子どもをサポートしていくことが、親や周りの大人ができることです。
そのために家族ができることも、実際にたくさんあります。
ところが、「無理に学校に行かせない」が「子ども任せにする」「子どもを見守るだけで良い」と解釈されている状況も現実には見かけます。
それによって、本当は適切なサポートがあれば、子どもの心身の状態が早く改善するのに、そのチャンスを掴みそこねているケースも残念ながらたくさん見てきました 😐
もちろん子どもの状態によっては、ただ休んでいたり、好きなことを思い切りやっているうちに元気になっていくこともあります。
でも、そんなケースが少なくなっているのも、11年以上の体験からは感じています 😐
大事なのは「不登校ならこうすべき」ということではなくて、「この子には何が必要か」という目で眼の前の子どもを見て、必要なサポートがあればする。。という姿勢です。
そんな意味で、特に慎重な子やまだ準備が十分でない子にも、一律に『無理しないで』『あなたのペースで』と言ってしまうと、子どものせっかくの「やってみようかな」という意欲がしぼんでしまうので、もったいないところです。
子どものタイプや状態によって、ストップを掛けた方がよい時と多少の無理も意欲があるならやらせてみるほうが良い時があります。
それは不登校だけでなく、色んなチャレンジ、受験や進路選択・部活や習い事などにおいても気をつけたいポイントです。
子どもには「自然の結末から学ぶ」という体験が必要です。
どんなことですか?
はい、アドラー心理学の言葉なんすが、子どもが実際に何かをやろうとして体験をしてみて、その結果「よかった、嬉しかった」とか「うまく行かなくて嫌だった」などと子どもが自分で感じて、『じゃあ次からはどうしよう?』と考えるようになるのが自然の結末から学ぶということです。
この自分で考えて、やってみて、また感じて考える・・というステップがとても大事なんです。
人が行動するのは感情が動くからです。
そんな自分の感情が動いた実際の体験が少ないと、「こうすると、こうなる。それだと困るでしょ』と大人から言われても、子どもはその体験をありありとイメージできないので、感情は動きにくいんです。
実際に体験せずに、『こうなったこうなる』と結末を想像するのを論理的結末といいます。
大人にはこれまでにいくつかの経験があるので、「論理的結末」で動くことができます。
なので、その論理的結末を子どもに言葉で伝えて、同じように想像させようとしがちです。
その方が「失敗が少なくなる」と思う、親心からです。
ところが実際に子ども自身に「自分で思ったようにやったみたら失敗して嫌だった」という経験がないと、それは自分ごとにならずに、「言われてやったから、言った人が悪い」となってしまいます。
また、うまく行っても「自分で選んだやり方でないから、自分の手柄ではない」ということになるので、自己肯定感も上がりません。
ただ「失敗しない」だけで、子どもの成長にはつながらないんです。
大人からすれば「ちょっと無理かな=100%の出来にはならないかも・・」ということでも、時には子どもにやらせてみることは、勇気がいります。
でもとても大事です。
なんでも「やり過ぎ」てみないと、どこが丁度いいポイントなのかもわからないままになってしまいます。
いつも「失敗しない安全なところ」ばかりを目指していると、自分の丁度いいところの手前で立ち止まるだけになります。
せっかくの可能性がもったいないですね
(T_T)
また、成長は、少し負荷をかけて自分の丁度いいところの先をやってみることから生まれます。
そうですね 🙂
ヒナが殻を破るには、コツコツしてみることが必要です。
親としては子どもが失敗するのを見るのは辛いところもありますが、『無理をしないで』をうまく使いたいですね
疑問形にはご注意を!
ここで、ちょっと付録のようですが「疑問形にはご注意!」をお伝えしますね。
気遣うつもりで『無理をしていない?』とか『大丈夫?』と声をかけてしまうことがありませんか?
ただ、言う方としては気遣いからだとしても、「疑問形で聞かれると、あえて『違う』と言いにくい」というのが重要なところです。
たいていの場合において、人は『無理をしていない?』『大丈夫?』と声をかけられたら『大丈夫』と言いたくなってしまいます。
気遣ってくれる気持ちはわかるけど、素直に『助けて』とは言いにくいんです。
『はい、実は無理しています』とか『実は困っている』と自分から言えるのは、日頃からよっぽど本音を話しやすい関係性になっていたり、もう既にかなりつらい状況になっている場合です。
相手がもっと気軽に『助けて』と言えるように、『何か手伝うよ』とか『〇〇ならやれるよ』などと具体的な声がけだと、せっかくの気遣う気持ちがうまく伝わりますし、相手もその気持を受け取りやすいのでオススメです 😉
「無理しないで」という言葉にはご用心!:終わりに
これからは、別の言い方で気持ちを伝えてみます
ちょっとした言葉の選び方で、伝わることが大きく違ってしまうことってよくあります。
せっかくの愛情はしっかり伝わるといいですね。
♡♡あとがき♡♡
思春期の子どもは、色々感じることはあるのですが、自分でそれを詳しく説明するのはできなかったりしてくれないことも多いです。
黙り込んで、一人でぐるぐる考えてしまうことも起きがちです。
そんな起きているすれ違いに気づかないままになってしまうと、親の方は『こんなに応援しているのに、伝わらない』と思って、同じ言葉をさらに繰り返してしまっていることもあります。
それでお互いの関係性が悪くなってしまうのでは、もったいないですね
(T_T)
そんな時にはちょっとした別の言い方を手に入れれば、コミュニケーションの進む先もうんと変わります。
これまでも最幸家族講座やセッションでお伝えして、ちょっとした言葉の選び方を変えるだけで、子どもとの関係性がぐんと良くなったり、子どもが元気になった事例もたくさんあります。
「何かがうまく行っていない」と思ったら、「相手が代わるのを期待して、同じことを繰り返す」のではなく、何かを別のことをやってみるのがおすすめです。
子どもの反応は、本当にちょっとしたことでかなり変わります
(^^)/
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