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感覚過敏で辛い思春期の子:うるさい、まぶしい、匂う、偏食、怖い、疲れやすい・・は変えられる!?
感覚過敏があるとただでさえ辛いのですが、思春期になるとさらにお困りが強くなってしまう傾向があります。
今回は、なぜそのようなことが起きるのかや効果的な対応についてご紹介しています!
それで「感覚過敏」という言葉を私も最近知ったのですが、より詳しく知りたいです
感覚過敏という言葉は、ここ数年でだいぶ知られるようになってきましたね。
ただ、「感覚」は言葉にしにくいものですし、自分の「感覚」が「他の人の感覚と、どう違っているのか」も分かりにくいので、感覚過敏でもそれを自覚したり説明するのには難しさがあります。
始めは「クラスに行くのが嫌だ」と言っていたので、なにかイジメでもあるのかと思っていたのですが、よくよく聞いたら「匂いが嫌」と言うんです。
でも父親は「それくらい大したことじゃない」と言うので、本人はとても傷ついたようです。
ただ私もどう説明したらいいのかや、どうしてあげたらいいのかわからなくて困ってます 😐
はい、「過敏ゆえの辛さ」を全く同じように感じてあげることはできなくても、理解して、一緒に対応することはできます。
ではご一緒に感覚過敏とその対応についてみてみましょう!
感覚過敏とは?なぜなるの?
感覚過敏とは、視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚などの感覚が敏感で、日常生活でお困りにつながっている状態のことです。
過敏であるのが一つの感覚だけの場合もあれば、複数ある場合もあります。
「過敏」という言葉になっていますが、広い意味では、逆に感じにくさが大きくてお困りにつながっている鈍麻と呼ばれる状態もあったり、過敏と鈍麻が一人の人に混在している場合もあります。
そして感覚過敏は「症状」なので特定の診断名もなく、薬などで治療する対象とはなっていません。
特定の感覚の過敏さの裏に、関連する器官に関わる要因があるかをチェックしてもらったり、感覚過敏に理解のある医療機関から学校に向けて、配慮についての書類をもらうことは場合によっては可能です。
最近は「繊細さん」呼ばれるHSPまたはHSCという言葉がありますが、こちらはアメリカの心理学者:エイリン・アローン博士が提唱している概念で、正式な診断名ではありません。
それぞれの感覚での過敏さの例です。
1)視覚過敏
光が眩しい(太陽、照明)、パソコン画面を見にくい、見ると疲れる、白い紙の文字を読むのが辛い
一度にたくさんの物や人を見ると混乱する(どの情報をどの順番で処理していいかわからなくなるなど)
2)聴覚過敏
ちょっとした音をとてもうるさく感じる、一定以上の大きさの音に耐えられなくなる
電化製品の日常音や掛け時計の音が気になってしょうがない
他の音があると会話している相手の声を聞き取れなくなる
3)嗅覚過敏
洗剤や柔軟剤、化粧品、香水などの匂いをきつく感じる、混ざった匂いに耐えられない
家庭科室や化学室、美術室の匂いがつらい
4)味覚過敏
特定の味がつらい、味をかなり濃く感じてしまう
味覚過敏は口腔の触覚過敏や嗅覚過敏と重なって、食材の触感や温度、匂いへのつらさから、「食べられない」「食べたくない」となり、偏食につながることが多いです。
5)触覚過敏
服やシーツなどの素材やタグやほつれが合わずに気になり続ける、制服やストッキングなどが辛い、椅子を選ぶ
砂や粘土などを触れない、雨や風が皮膚に当たると不快、シャワーが痛い
どれも、その人が選んでそうなっているわけでじゃないのに、そう感じちゃうのは辛いですね
そうなんです。
まず、「色々な感覚過敏が実際にあることを、お子さん自身もご家族も知る」ことがとても大事です。
そして次は「感覚には大きな個体差があることを知る」のが次のステップです。
上記のような感覚の過敏さの種類と程度は、その人によって全く異なります。
そもそも「感覚」は個人的なものなので、「自分は大丈夫だから、あなたが辛いと感じるのはおかしい」とは言えないです。
「どう感じるか」にはかなりの幅があるのです。
親子でも感覚はかなり違ってもおかしくないのですが、つい親子だと「自分は大丈夫なのに」と思いがちだったり、「他の多くの子は大丈夫なのに」と捉えがちでもあります。
この2つがしっくり来ていないと、いくら子どもに感覚過敏があると言われても「わがままなだけじゃない?」「我慢が足りないのでは?」「ただ、辛いことをやりたくないからかも」などの考えを手放すことができなくなります。
他の人にそう言われたり、そんな情報を見るとすぐに動揺して、子どもへの対応もブレブレになってしまいます。
そうなると次のステップに進めません。
次のステップは「子どもの行動や症状の裏にある感覚過敏に気づく」です。
感覚そのものには言葉がありません。
例えば眼で見えた情報を脳に送って、それを分析にして理解して言葉にするのは脳の仕事です。
Aさんの脳はAさんが見た視覚情報しか、生まれてからず~っと扱ったことがないので、自分が見た情報が「他の人が見た情報と違う」と判断するのは難しいのです。
他の人の脳になったことがないからです 😯
なので、まさか自分の感覚が他の人と違うとはわからないのです。
万が一、「なんか違う?」と気づいても「どう違うのか」は全くわかりません。
もし自分が「見たもの」または「目に入ったもの」で辛さを感じているとまでわかれば、例えば「光が眩しくて辛い」と表現できます。
でもたくさんの物や人をいっぺんに見た時に、どの情報を優先して拾ったらいいのかなどで混乱するという視覚過敏の場合には、そこまで自分の混乱の要因を分析できていることはほぼないものです。
そうなると「外に出ると気持ち悪い」とか、「学校に行きたくない」「人が多いのが嫌」などの表現で終わってしまいます。
そして「なんで?」と言われても説明できないことがほぼほぼです。
それで理由を説明されないと困ってしまいます。
そうですよね。
ただ子どもも自分でも理由がわからないのです。
そういう時にはそれ以上何度も理由を尋ねたり、ただ放置するよりも、サクッと専門家に相談するのをおすすめします。
発達を具体的にサポートしている専門家ならば、すぐにその裏にある子どもの辛さの要因を見つけます。
それをせずに、いつまでも子どもに「行きたくない理由」を尋ねてしまうと、子どもは学校を嫌だと思う理由を絞り出して言うしかなくなります。
そうなると、それが本当に今扱うべき理由でないので、状況は混乱する方に行ってしまうのでご注意です
「学校に行きたくない」までの辛さでなくても、感覚過敏のために
*勉強に手を付けにくい
*頑張っている割に成績が伸びない
*人とのコミュニケーションが上手く行かない
*自信がない
*疲れやすい
*イライラ・攻撃的、または落ち込みやすい
*朝起きられない
*怖がり
*不登校
という状態になっていることも、実は珍しくはありません。
感覚過敏については、まだ広く知られているわけではないので、学校の先生でも気づかれないこともあります。
外から見えるのは「うまく行ってない」という状況や結果だけなので、その裏にある要因まではなかなか分かりにくいものです。
そうなんです。
でもご安心下さいね。
当カレッジでもこれまでに100名近いお子さんたちに上記のようなお困りの裏にある感覚過敏が改善したことで、お困りが改善した事例がありますので 🙂
お困りへの対応としては、現在のお困り状況への対応と、より深い要因への働きかけの両方がありますので、今後のお困り発生率もぐんと下がります。
では次は、お困りになる感覚過敏はなぜ起きるのか?についてです。
お困りになる感覚過敏が生じる理由とは
感覚の過敏さ・愚鈍さは、本来どの人にも多少のばらつきがあります。
ただそれがお困りにつながっていなければ、特に問題になることもありません。
お困りになる感覚過敏になる理由は、根本的には身体のエネルギー不足からです。
そして身体のエネルギー不足になる要因は複数あります。
●エネルギーを作る材料(栄養)不足・・代謝システムの乱れ
●運動=必要な刺激不足
●睡眠不足
●ストレス過多
●物理的な要因(神経系の圧迫など)
●発達のぬけ
●遺伝的な代謝の傾向
これらの要因が複数重なることで感覚過敏でのお困りが発生しやすくなります。
同じ「感覚過敏」と呼ばれる症状でも、これらの組み合わせによっては、それほど根深くない場合もありますし、胎児の頃からこれまでの出来事の蓄積の結果という場合もあります。
ただ、遺伝的な代謝の傾向があったとしても、その子に十分な代謝の材料(栄養)と刺激、睡眠と適度なストレスがあり、物理的要因がなければ、感覚過敏がお困りにつながる可能性はかなり低くなります。
どの要因にもそれぞれ働きかけることができますので、その子に今最も必要なところから働きかけていくことで、感覚過敏の改善を促せます 🙂
その子の過敏な感覚の種類と、その過敏さの強さによって、アプローチ方法やスピードは個別に調整するのが一番のポイントです。
また、発達の抜けは誰にでも多少はあるものですが、ある程度以上あるとカバーするためのエネルギーをその分必要とします。
そのために発達の抜けがある程度以上あると、身体のエネルギーの貯金がしにくいために、感覚過敏や疲れやすくなったり、落ち込みやすくなったり、怖がりなどにもなりやすくなります。
発達の抜けがとても大きくて、日常生活での「障害」になっていると「発達障害」と診断されます。
感覚過敏は発達障害のお子さんに多い、と言われますが、「感覚過敏ならば発達障害である」のではないですし、発達の抜けがそれほど大きくなくても、他の要因が大きく影響していると感覚過敏の状態になることもあります。
もともと発達の抜けもかなりあり、不登校になっていたお子さんだったので簡単ではありませんでしたが、お母さんがコツコツ必要なことをとにかく続けてくださったので、その後徐々に落ち着いて、中学後半で成績もかなり上がり、今では成績優秀者にも選ばれて、運動も友達関係も楽しんでいます。
感覚過敏が思春期に辛くなりやすいワケ
小さい頃には感覚過敏で困っていなくても、思春期になってから感覚過敏になる子も今は増えています。
小さい頃から感覚過敏があった子が、思春期以降にその過敏さが強くなることもあります。
それは、先程の「身体のエネルギー不足になる要因」が思春期に起きやすくなるためです。
思春期になると、成長のためのエネルギーを作る材料(栄養)を多く必要とします。
それが十分に得られないと、身体がエネルギー不足になります。
また、中1の壁や新しい学校環境など、それが喜ばしいことでも、適応することはストレスになります。
通学時間が伸びたり、宿題が増えたり、定期テストが始まったり、部活や塾が増えたりもストレスにも、睡眠不足の要因にもなりやすいのです。
このようなことから、思春期になってから心身のエネルギー不足が大きくなって、感覚過敏という症状が出るという実例はたくさんあります。
ただ、そのような流れを理解していると、ちゃんと必要な手を打てますので、感覚過敏の辛さも軽減していけます。
気をつけたい感覚過敏の二次被害
感覚過敏があると、本人がその過敏性から直接辛さを感じるだけでなく、二次的な被害を被ることがあります。
例えば
★白い紙が眩しくテストで実力を出しきれない
→ 勉強した分の成績アップにつながりにくい
→ 努力してもだめなんだと、と思い込む。
努力が足りないと責められる
★他の音があると会話している相手の声を聞き取れなくなる
→ 話しかけたのに無視したと思わてしまう
→ 友達や先生などから誤解される
★家庭科室や化学室、美術室の匂いがつらい
→ その授業がなのだ嫌だと勘違いされる
→ わがまま、気分屋だと思われる
★人混みが視覚的・聴覚的・嗅覚的・触覚的などの理由で辛い
→ 登校が辛い、通学が辛いので学校に行きづらくなる、友達と遊びに行けない
→ 本当はやりたいことができなくなるので自信をなくす
まわりからも理解してもらえない
★味覚過敏、触覚過敏、嗅覚過敏で食べるものが偏る
→ 栄養不足になり、さらに感覚過敏が進んでしまう
その結果、ますます偏食になり・・・という悪循環へ
などがあります。
本人の健康状態や学校生活・友達関係への影響が、気付かないうちに広がるのです 😯
他にも、疲れやすくなったり、精神的に不安定になったり(イライラや落ち込み、怖がり)から、不登校や鬱などにつながることもあります。
中でも、最も辛いのは感覚過敏について自分でもわからなかったり、家族や先生やクラスメート、部活の指導者やメンバーに分かってもらえないことです。
ただ辛いという感覚だけあるのに、なぜなのかやどうしたらよいのかがわからない状況はとてもしんどいです 😐
さらに、理解されずに誤解されて「やる気が足りない」などと責められれば、孤独感も募ります。
自己肯定感も下がってしまいます。。。
なので、ぜひ先程の
「色々な感覚過敏が実際にあることを、お子さん自身もご家族も知る」
「感覚には大きな個体差があることを知る」
「子どもの行動や症状の裏にある感覚過敏に気づく」
というステップを、周りの大人が子どもと一緒に上がっていきましょう!
親ができる感覚過敏へのサポート
先程の3つのステップを上がったら、いよいよ具体的なサポートです!
3ステップを上がってくれば、子どもの感覚過敏に対しての理解と共感が持てる状態です。
理解と共感は、感覚過敏の子の感覚を同じように感じられなくても構いません。
『私にはよくわからないけど、感じ方が過敏(または愚鈍)で辛いことがあるんだ、そんな中で頑張ってきたんだね』
と思えればOKです。
そう思えれば『やる気がないから」「甘えじゃない」「もっときつく言って我慢させたほうがいいよ」などの声にブレなくなります。
具体的にできる対応は大きく2つです。
今感じている感覚過敏さへの具体的な対応を取ります。
例えば以下のような対応です。
視覚過敏
◯サングラスや色付きメガネなどで眩しさに対応する
◯クラスでの座席を眩しくない席にしてもらう
◯カラーノートを許可してもらったり、テスト用紙を黒い紙などにしてもらう
(カラークリアファイルの活用を認めてもらうのもよい)
◯人混みには過敏特性を理解している人と一緒に出かける
聴覚過敏
◯ノイズキャンセリングの使用許可をもらう
◯日常のなかで静かな時間と場所を持つ
◯親しい人には聞き取りにくいことがあることを伝えておく
嗅覚過敏
◯マスクの着用を認めてもあり、それを他の生徒にも説明してもらう
◯自分が休める場所に、必要な時には避難することができるようにしてもらう
味覚過敏
◯給食ではなく、お弁当の持参を認めてもらい、それを他の生徒に説明してもらう
◯大丈夫なものと無理なものを、必要な人には伝えておく
触覚過敏
◯制服などでの工夫を認めてもらい、それを他の生徒にも説明してもらう
◯体温調節の工夫を認めてもらい、それを他の生徒にも説明してもらう
自分だけでできる工夫も大事ですが、ある程度お困りがある場合には、学校や友達などの理解と協力も必要になります。
友達にはなるべくわかりやすく、「こうして欲しい、これは避けて欲しい」と具体的にお願いしておくのが良いでしょう。
ただ「感覚過敏なんだ」と言われても、どうしたらいいのかわからないと、相手もこまってしまうので、具体的に伝えるのがおすすめです。
学校には「合理的配慮」を求めることができます。
合理的配慮については、文科省の『【資料3-1-2】日本の特別支援教育の状況について』https://www.mext.go.jp/content/20200109-mxt_tokubetu01-00069_3_2.pdfの
「8.合理的配慮の提供」に詳細の記載があります。
学校での合理的支援とは、教育を受けるために特別な支援が必要な子どもが受けられる支援のことです。
この支援を子どもが学校に要望を出して、学校として実現可能な範囲で行われます。
これまでにも
・落ち着けるためのスペースの確保
・言葉だけでなくメモなどによる情報伝達
・カラーレンズメガネの使用
などが行われています。
学校に相談する場合には、具体的にどのようなお困りがあるのかと検討してもらいたい施策も具体的に伝えると、話がスムーズに進みます。
また、このブログの「感覚過敏とは?なぜなるの?」にあるように、医療機関で感覚過敏の状況と配慮の必要性を示してもらえると学校との話し合いも進みやすくなります。
今の状況への対応をしながら、感覚過敏のより深い要因へのアプローチをしていきます。
その子の状況を本人やご家族から詳しくお聞きして、「身体のエネルギー不足になる要因」のなかで最もサポートが効果を上げそうなところから、優先順位をつけて取り組んでいきます。
ここはかなり個別の対応になりますので、ピンときた方は思春期最幸家族講座をご活用下さい。
サポートには時間のかかるものもありますし、始めは子どもも本当に楽になるのかと不安がることもあります。
それでも、少しでも「変わった」「楽になった」と思えた時からは、子どもも親御さんも希望と自信が持てるので、より積極的に継続的なサポートに子どもも自分から取り組むようになります。
(^^)
感覚過敏で辛い思春期の子:おわりに
そしてその後で子どもから、教室での音や匂いや辛いと聞いた時に、始めて「感覚過敏」という言葉を知ったのですが、どういうもので、何ができるのかがわからなくて、私も不安でした。
今日は色々分かったので、だいぶ安心できました。
お父さんにも伝えます。
今の状況への対応とより深い要因への対応ができれば、お子さんも楽になると思います。
❤❤あとがき❤❤
感覚過敏は発達障害という言葉と、よく結びつけて語られるので、その言葉に驚いてしまうことがあるかもしれません。
発達の抜けは多くのパターンが有り、ぬけ方の大きさも、その影響の出方も様々です。
発達の抜けからくる辛さも改善できるので、もしそうだとしても希望を持っていただければ嬉しいです。
そして感覚過敏でも、もともとの発達の抜けはそれほど大きくないパターンもあります。
そのような場合にはより早くに改善する傾向があります。
ただ、感覚過敏は他の人にはそのお困り具合がわかりにくいので、見つけられなかったり、見つかっていても軽く扱われることも少なくはありません。
必要なサポートがあれば楽になりますので、まずはかなりの個体差のある感覚過敏について知って、お子さんのお困りがある場合には、その裏に感覚過敏がないかな、という視点でチェックするのがおすすめです。
感覚の過敏さ・愚鈍さのために使っていたエネルギーを自由に使えるようになると、どの子もよりのびのびと自分らしく動き始めます。
本来のその子らしさにエネルギーも時間も使えるようになるからです
(^^)/
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